【Meet The Orchestra】G音楽たい×東京佼成ウインドオーケストラ in Tokyo 後編~プロもアマもとにかく挑戦!”出来ないこと”ではなく”出来ること”を見つける

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リハーサルの様子

※本文中の「東京佼成ウインドオーケストラ」は佼成と表記しております

ーーコロナ禍で大変だったことは?

指揮を振る林さん

林さん:主催者側としてになりますが、コロナ禍で何が大変だったかというと、“意識の違い”ですね。アマチュアの人間はやっぱりアマチュアなんだなと。私自身演奏者としてはアマチュアですけれども、なんというんでしょうか、意識として見通しが甘いというか。今回この東京の演奏会、コロナが怖いからやっぱりやめるとかっていうのが開催2週間前とかにあったんですよね。仕方ない部分というのは分かっているんですけれども、最初の時点である程度予測しておくべきなのではないかと私は思います。プロの方では、「やっぱやめた」は一切ないですしね。そこはある意味縛られてしまう部分かもしれませんけれども。
今回の演奏会に関わらず、本番の直前になって降りてしまうアマチュアの方は出てきてしまいますね。これはコロナ禍で一番厳しいところです。

宮村さん

宮村さん:去年、佼成メンバーも参加させていただいてNHKの飛沫の実験というのもやりましたけれども、結果ソーシャルディスタンスをどのようにとるかという指針が出来て、今はどのオーケストラもソーシャルディスタンスの指針に合わせた並び方をしています。最初はこれに我々プロも戸惑うんですよね。音の聞こえ方も変わりますから。だからアマチュアの皆さんはその比じゃないんだろうなと思っています。それがどうなるんだろうなというところですよね。”ソーシャルディスタンスは保っても、奏者のディスタンスは無いように”と。これね、ぶっこもうと思っていたんですよ(笑)そうそう、奏者の心のディスタンスは無いように演奏をね。プロはソーシャルディスタンスを技術と経験でカバーできますけれども、アマチュアの皆さんとの心の距離は詰めていく。そこを我々がしっかりやれたらなあと。そこもさっきの闇鍋を整えるというところに繋がってきますね。

ーーコロナ禍になってからの気持ちの変化はありましたか?

宮村さん:変化というのか分からないですが、”本物は死なない”んですよね。これはプロアマ問わないと思っていてプロの在り方も変わってきていて。アメリカではすでに起こっていることなんですが、ギタリストでありWebデザイナーで、フォトグラファーでありバーテンダーでもある。どれが本業なのかっていうと全部本業と言う。そういう風に日本も堂々と並べていえるようになってくる。そうなったときに一番大事なのは、”本物である”という事。本物であるっていうのは誠意のあるまっすぐな気持ちで取り組んでいるということ。もっともっと、純粋な人間っていうのが世の中に認められて出てくるんじゃないのかなって。レベルにも関係なくそういう世の中になっていく気がします。

林さん:愛知県の知事が言っていた言葉が印象的に残っているのですが、記者が「音楽活動をやめろとかフェスをやめろとか、そういうことは知事から言わないんですか?」と質問を投げかけていたことに対して、「音楽で生きている人たちもいて、そういう人たちの仕事を取るっていうのはまた違った話。音楽活動や芸術も必要。だからそれを絶やすようなことは私はしない」と。言っていたんです(言い回しは正確ではないですが)それは私自身も思うことで、アマチュアが上手く吹きたいと思うことがなければプロに習うこともないですし、アマチュアにはアマチュアの役割、プロにはプロの役割。そういうのも全部ひっくるめて音楽というエンターテイメントなんです。だから、これからもコロナだからと言って、そういった活動を自粛しなさいよと言われても音楽を絶やすことは私はしたくない。確実に感染が拡大することが予測出来れば、それはもちろん行わないですけれども。コンサートは比較的低リスクと言われていますし、我々が音楽活動を行うことで、ホールも舞台スタッフも様々なところが連動して経済がまわっていく。これをやめてしまうことは、それに携わっている人たちの生活も奪ってっしまうという事だからそれは違うのかなと。今後、どうコロナと付き合っていくかというと、これまで通り感染防止は施したうえで活動していくというところですね。

今西さん

今西さん:そうですね、コロナ禍になって1年半ほどたちますけれども、去年はことごとく入っていた演奏会が全部中止になりました。3.11の震災の時もそうでしたけれども、何かが起こった直後っていうのは我々音楽家ってなにもしてあげられることがなんですけれども、(現地の復興が最優先なのでね)それがすこし落ち着いたときに我々の存在が大事になってくるんですよね。音楽で人の心を癒すことが出来る。本当に涙を流して聴いてくださって。我々の存在は必要なんだなと感じました。吹奏楽コンクールも中止になったり、音楽は不要不急とされていたようにも感じますが、皆さんがコロナに疲れてきたときに音楽を求めてきているんですよね。だからやっぱり音楽は必要なものなんだと、改めて思いました。

ーーG音楽たいの今後の展望は?

林さん:私としては、今回の演奏会もそうですけれども、ちょっと他ではやったことないよっていうような演奏会をやっていきたいなと思っています。佼成とアマチュアのコラボ(単独楽団としての)も初めてですしね。今後も各地方で演奏会を考えていて、もう日本縦断ですよね(笑)北海道、東京、大阪、宮崎と。”これアマチュアでするの?”っていうね。我々の強みを生かしていろんなことに挑戦していきたいですね。いろんな人と繋がって、いろんな音楽と触れたい。

ーー今西さんと宮村さんへの質問。
様々なバックグラウンドを持つ人たちと共演するにあたり、何か譲れないものや気を付けている伝え方などはありますか?

宮村さん:軸にはやはりアマチュアの方っていうのは、”楽しくやれる”っていうのが一番大切だと思うんですけど、なんでもやれば楽しいのかっていうとそうではなくて。自分が責任を果たせて嬉しいっていうある部分もあると思うんですよね。だから楽しむって言葉は深い。とにかく最終的に全員が自分の精一杯、この精一杯っていうのはいっぱいいっぱいになってしまうのではなく、誠意、いっぱいという事ですよね。そういうコンサートにできたらいいなと。

今西さん:プロの方でもアマチュアの方でも、やはり達成感ていうのが凄く大事だと思うんですよね。その達成感ていうのはそのまま正直に自分に帰ってくるので、しっかりやったなと思ったら良い達成感だし、てきとうだとそれなりだろうし。やり切ったっていう達成感を演奏会で感じられるように持っていけたらいいなと、明日の本番もそうしたいなと思っています。

ーーコロナ禍という事もあり、悩める音大生や音楽家は多くいると思うのですが、この先どのように生きていくか、音楽家として生きていくうえでのアドバイスをお願いします。

林さん:主催者側としてのアドバイスになりますが、我々が求めるプロというのは技術的な事は問題ないと思いますが、“いかに人と繋がれるか”というところだと思うんですよね。どう紹介してもらえるかだったり、いかに知名度を上げるかっていうのも必要な事だと思います。


宮村さん:そうですね。出来ないことを見つけてしまう人って結構いるんですよね。こうだからできない、~のせいですよね。コロナ禍っていうのもあり、怖がってしまったり心も委縮してそういう気持ちになりがちだとは思うんです。活動している人でもそういった思考に捉われてる人も中にはいて、私自身も思うことがあります。かといって、思考を変えるっていうのもなかなかできる事ではないですよね。様々な方法や、やれる人とやれない人がいますから、自分の適性や可能性の芽を見つけなければいけない。その可能性をポジティブに見つめるっていうのが出来たらいいと思うんです。難しいことだとは思うんですけれどもね。他人は他人、自分は自分。迷惑さえかけなければ何やってもいいんですよね。”何かを見つけて突き詰めて、その端まで行ければ別の視点も見えてくる”と思うんですよね。
他人に迷惑をかけなければ何でも挑戦、やってみようっていうのが大事になってくるんじゃないかなと思います。

今西さん:これはすごくい難しい質問なんですよね。例えば、あの音楽家が成功したから、その人と同じ道を歩んだら成功するのかって言ったらそうじゃないですよね。またいろんな道があると思うんです。こんな世の中ですけど、どんどんチャレンジしていくべきだなってやっぱり思います。それに尽きるかな。