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『彩りを楽しむ』
すぎなみ彩楽の強みとは
-創立からずっと大切にしてきていることはなんですか?
福田氏:参加した人たちがそれぞれにチャレンジがある。それがいろんなチャレンジの仕方があって良いんだろうなって。その人が何かをしたくてこのチームを選んでくれたんだとしたら、その人がチャレンジできたら素敵だなって思うんです。
この楽団でしかできないような音楽が出せるように工夫する。その発想に行く理由っていうのは、多分自分が作家さん(クリエイター)をやっているから。音楽って、演奏する人たちのクリエイティビティってとても必要で、その自由な発想ていうのが沢山のところから集まってきたら面白いものが出来るんじゃないかっていうのは僕自身良く知っている事なんですよね。それこそ「こういう曲やってみたいんだけど、やってみていいか」っていう中で、今僕と今一緒に指揮をやっている敦賀谷 純くんも指揮と編曲が両方できる方なので、「これ取り上げたいから譜面書いてよ」(編曲してよ)ってお互いに言えるんです。だからそういう意味では”あるものでしかできないっていう発想がなくって、無かったらつくればいい。”
副指揮者 敦賀谷 純 氏
うんうん、強み、超強みだね。
ー副指揮者の方はいつ頃から入られて来られたんですか?
福田氏:8年前かなあ…創立当初からいたわけではなくて、一般募集してしばらく経ってからです。彼は高校卒業して「もうちょっと楽器やりたいから」っていって入ってくれて。周りにいるみんなが彼の事を見ていて、絶対やろうと思ってるよねって。だから周りから「指揮やってみない?」って声をかけて3年がかりで話して、決断させるのに1年半かかりました。
となると、すぎなみ彩楽は団員ひとりひとりが主体性をもって音楽をつくっていくっていうのがあるんですね。
けどまあ実際主体性があるのかどうかっていったら…(笑)
福田氏:今はある意味、15年やっている中で”うちのチームでやるからには”っていうのでちょっとずつビジョンが高まって来ているところで、悩みだしているところはあるのかもそれない。どうしたらいいのかっていう。けどその悩むのもクリエイティブだなって思っていて、「じゃあみんなどうしたらいいんだと思う?」っていうのを問いかけている。
うちのチームの経験値も高くなってきているけど、創立当初にいたメンバーなんて多分数人しかいないんですよね。その人たちも歴史は一緒に感じてはいるけれど、面白いのは半年毎演奏会でリセットされる感覚。団体全体が初心に戻る、初心者になっちゃうっていう。あんなに良い演奏したのに…!!っていうね(笑)まあでもそれで半年ごとを馬鹿正直にみんなで過ごしていって、ひとつずつ丁寧につくっていくっていう風になってきたっていうのがこの5年くらいかな。
リセットボタンがあるんだよ~リセットボタン!!
ー定期演奏会の他になにかイベント等での活動はあるんですか?
福田氏:”杉並区の中で市民権”を得るというところでこだわっているところとして、自分たちで勝手に演奏するっていうのは出来るんだけれどその演奏が人の、地域の何か役に立つようにっていうのもちゃんと大事にしたいことだなって思っていて。定期演奏会とは他に地域の演奏会への参加とか中学生・高校生の子たちと一緒に演奏する機会であったり、一緒に交流をして何かをするっていうのを定期的にしていますね。
ー地域での演奏会などは依頼されるんでしょうか?それとも楽団から働きかけるんですか?
福田:どちらもありますね。地域の方から「これやってよ!」と言ってもらえたりいろんなパターンがありますけれど、この15年間いろんなイベントに首突っ込んでる感じはありますね。
ーこれまでの15年間で1番記憶に残っている演奏会はなにかありますか?
福田:あ~、2つあるかなあ。創立10周年の時の演奏会を2回やっていて、1年間で演奏会が2回あるので第20回と第21回。20回の方はもちろん記念演奏会として大々的にバーンとやって、凄く大変だったけど達成感がありましたね。驚いたのがその次の第21回の演奏会が一番観客動員数が多かったんです。すぎなみ公会堂の収容人数が1100席で開放が1000席。それに対して900人も来ていただいたんです。おそらく第20回の演奏会を見て来てくれた方がまた再度いらしてくれて。そのころから杉並区の教育委員会の後援を取り付けることができました。
“ちゃんと実績持ってるから、後援の申請とれますよ”って。「えっ、じゃあ、だします!そうすると何が出来るんですか?」って聞いてみたら、区の広報誌に演奏会の情報掲載出来るって。それ全然知らなかったんですよ。じゃあって一か八かで掲載してみたらめちゃくちゃお客さんが来てくれたんです。それでチームとしても自信が持てるようになりましたね。広報誌にも掲載をしていって、沢山の方々にちゃんと知って頂けるようになりました。900人も来ていただけるとさすがにひしめきますよね。でそこからいっぺんに知名度がついて来ていただけるっていうことが分かった。こんなチームでもファンがいてくださるっていうことが実感できたっていうことがとても嬉しいことかなあって思いますね。
ーやっぱり観客がいるっていうだけで演奏者側の自信にとても繋がりますよね。
福田氏:そうそう。毎回来てくださるお客様もいらっしゃって、そこは大きなターニングポイントになりましたね。あとは第26回の定期演奏会。メンバー全員で総力をあげてアイディアを出し合って、これは絶対面白い演奏会になるねっていう話をしたのが、日本のアニメ音楽を特集しようっていうテーマのステージがあって。そのころには演奏会に来てくださるお客様のスタイルもだんだん決まってきていて、『0歳~100歳まで楽しめる演奏会』っていうのがポリシーとして決まってきていたんです。いまの日本のアニメって世界に誇れるコンテンツとして光り輝いているものではあるけれど、アニメのステージを組もうってなったときに彼ら(団員)の中のアイディアだけで行くと、歳が20代30代ばっかりの人たちなんで自分の知っている範囲内だけで収めてようとしまうんです。いやいや、0歳から100歳までくるんだよって。
知恵を絞って選りすぐりの曲をちゃんとラインナップしてつくれた演奏会っていうのが凄く評判が良かったんです。それで、その時に演奏したエヴァンゲリオンの組曲がYouTubeで31万回再生されていてめちゃめちゃバズって結構なことになっていてですね。なんでこんなバズってんのかなって、まあ単純にエヴァンゲリオンのファンが食いついただけなんだけれど(笑)そんなことをきっかけにしたとしても、“こんなことをやるチームがあるんだ“って思ってもらう。ある意味別の角度から知名度が爆上がりしたっていうのが嬉しいことだなあって。
その時に同時にあった出来事として、演奏会の終わりのアンコールで「会場の皆さん一緒に歌ってください」って3曲演奏してその時は確か、忍たま乱太郎のテーマ曲と宇宙戦艦ヤマト、銀河鉄道999だったかな。各世代の人たち、それぞれのドツボになる曲で歌いまくっていたっていう光景があったんです。その時のアンケートに“凄く観客の皆さんに見向いてくれるチーム”っていう風に書いてもらえて、そう思ってくださるていうのがとても嬉しいのと同時に責任も重いなと感じるように最近はなってきましたね。
ー素晴らしいですね。それこそ”市民権を得る”っていうところで年数を重ねて、試行錯誤を重ねて築き上げて得たものですよね。
ー最後に一点。
“すぎなみ彩楽”という名前の由来はなにかあるんでしょうか?
福田氏:あ~、懐かしい話だなあ。創立したときのメンバーが、福田さんが代表を務めるチームだとなんか”漢字を使った名前の方がいい感じがする”と、イメージで言ってくれて。「福田さんが若い時からやっていた音楽のイメージが『彩り』っていう字が似合う気がする」って言ってくれたんです。僕の中では、「へ~。」くらいにしか思わなかったんだけれど、周りのみんながうんうん!といってて(笑)じゃあその”彩り”という字を使って考えてみるかって。それで色々と考えてみて、”彩りを楽しむ”というのが挙がったんです。それだとまぁ”しゃらく”にはならないんだけど、スペルを並べた時に彩でSAI、楽でRAKU。それであっ!て思いついてくれたんです。
「A」と「I」を入れ替えたらしゃらくって言葉なんかあるね。それでもまだうーん…てなったから「Y」にしちゃえ!!と。
私も、「おお、なるほど。」って納得して。それで決めてくれました(笑)だから大体いまだに読まれなくて、これなんて読むの?といわれます。まぁそれもそれでフックじゃないですか、その面倒さがなにか引っかかってくれたらいいなって。
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次回、作曲家福田洋介氏の単独インタビュー記事&すぎなみ彩楽の団員個人インタビュー記事掲載予定!お見逃しなく!!
それはもう楽団としての強みですね。